2024/04/13 12:25

イランには各都市に金、銀のアクセサリーや装飾品で埋め尽くされたバザールがあります。

金細工で有名な街のバザールは広大で、そこはまるでアラジンに出てくる魔法の洞窟に迷い込んだかのように、右も左も金のアクセサリーで溢れかえり、誰もが自ずと心が跳ね上がる感覚を覚えるでしょう。


アクセサリーのひとつひとつを見ても、イスラム文化ならでは幾何学模様やペルシアの象徴となる聖樹、動物、植物がモチーフとして描かれた繊細なデザインのジュエリーが並びます。

そしてお店に併設される工房では、ピノキオに出てくるおじいさんのような、髭をたっぷりたくわえたいかにも熟練の職人が、細かい作業でアクセサリーや装飾品を作っている光景が見られます。


イランの金細工の歴史は、紀元前3000年にまで遡ります。中でも紀元前500年あたりから栄えたペルシア文化の象徴として、時に宗教の世界観を形作る一助としてイランという国に寄り添いながら発展を遂げました。その後シルクロードを通じ東は中国へ、西はヨーロッパの各地へ持ち出され、その彫金技術や独特なデザインは世界へ広まり、あらゆる文化を触発したと言います。


その金細工の技術は3000年以上の時が経った現在においてもその技術は職人から職人へと長い時間かけて受け継がれています。古代ペルシアから用いられている鋳造、彫刻といった技術を基本として、イランの伝統的な技術で言えば金を線状にして編み込むフィリグリーという技法や、より繊細な金糸で花や幾何学模様を作る技法など手作業が大切にされています。



一方で近年では金細工職人の後継者は少なく、伝統的な技術が失われつつあります。中東情勢の不安定化による観光客の減少や、イラン国内の経済状態悪化に伴い金細工の需要が大きく減少しているのに加え、他の国と同様3Dプリンターのような機械化の中で、テクノロジーと伝統的な製造方法の間で揺れている工房や職人も多いのが現状です。



受け継がれた技術や文化は、歴史の中で一人一人の職人が費やした膨大な時間、それすなわち人生の積み重ねとも言えます。

そんな技術がいい形で未来へ受け継がれていくことを願うと同時に、RUZ Persian Jewelryもその一助になれるよう尽力していきたいと考えています。